[ブログ記事] 高級宿予約サイト Relux が Google 広告ディスプレイ広告に機械学習を活用した SDC に一本化し、付加価値の高い業務に注力することで、予約数を 2.3 倍に増加
このブログは、旧コミュニティにて 2018-03-13 に公開されたものです。
みなさん、オンラインで旅行先や宿泊先を探したことや、予約をしたことはありますか。実は、国内の個人向け電子商取引(サービス分野)の中で「旅行サービス」は第 1 位で、2016 年の市場規模は 3.0 兆円、対前年比で 5.4 % 伸びています1。Google 検索でも、旅行関連キーワードの検索数はこの 2 年で 1.5 倍近くに増えており、オンラインで旅行先や宿泊先を探す人、予約する人は増え続けています。
高級旅館・ホテルの会員制宿泊予約サービス Relux では、厳しい競争の中でのパフォーマンス最適化を目指し、ディスプレイ広告に機械学習を活用した「SDC(スマート ディスプレイ キャンペーン」へディスプレイ広告を一本化。これにより、無料会員獲得数が +57% 増加、高級旅館・ホテルの予約数は +128.2% (=約 2.3 倍)増加しました。今回は、この成果達成に到るまでの戦略的変化、成功の秘訣、そして施策上のポイントをご紹介します。
創業から事業拡大へ、Relux におけるマーケティング戦略の変化
創業当初 Relux では、大手競合と違う土俵で戦うため、SNS マーケティングを中心に「高級宿」に興味を持つ潜在層にリーチすることで成長してきました。そして SNS での獲得に頭打ち感がでてきた後に、検索連動型広告領域への本格展開を開始。検索連動型広告では既に需要が明らかになった顕在層へ、予約に結び付いた顧客への「ラストクリックベースの最適化」を進め、さらなる顧客獲得を進めました。
しかし、ラストクリックベースで最適化を進めた場合、やはり顕在層に限定されてしまうため、新規拡大の限界がきます。そこで次は、まだ旅行ニーズが顕在化する前の「見込み顧客へのリーチ」を目標に加えた、マーケティング予算の全体最適化に大きくシフトしました。施策の一環としてスマート ディスプレイ キャンペーンを導入することになりました。
スマート ディスプレイ キャンペーンを成功に導くポイントとは
Relux が SDC 導入で成功を納めたポイントは、大きく分けると次の 2 つになります。
1. SDC の導入により、Google の推奨するディスプレイ基本推奨設定(下図参照)全てに対応することができ、人力では分析不可能なデータ量を機械学習によって分析することで、マーケティング効果の最大化が可能になった。

2. 機械学習が工数のかかるデータ収集、分析作業を行ってくれるので、削減した工数でさらに付加価値の高い業務に注力することが可能になった。
機械学習の活用へ全面シフト
SDC で本当に効果が出るのか?最初はキャンペーンの一部にだけ SDC を導入して効果を見たい、と考える広告主様は多いでしょう。Relux も SDC 導入当初は同様に考え、リマーケティング、類似ユーザーターゲティング、SDC のように複数キャンペーンを並走させました。結果、複数のキャンペーンがコンバージョンを奪い合ってしまい正当な評価ができないだけでなく、SDC で蓄積するデータが少ないため機械学習が円滑に進まず成果がでないという状態に陥りました。
しかし、Relux ではこれまでにも、他の Google の広告ソリューションで成功実績があったことから、今回思い切って全ディスプレイ広告キャンペーンを SDC に移行する決断を行いました。この決断こそが、成功の秘訣となりました。
機械学習の活用でより付加価値の高い業務に人的リソースを配分
自動化後には運用工数が大きく削減できたため、「クリエイティブのテスト」に力を注ぎました。旅行市場では「季節性」が非常に重要になります。定番のクリエイティブ、季節性をもたせたクリエイティブを 100 種類以上、ほぼ毎週テストし、客観的な効果を見極めながら定期的に最適化していきました。具体的には、過去の予約実績から、人気のある季節性クリエイティブの系統を「夜景系」、「夕焼け系」、「快晴系」などと分類して SDC に入稿。それぞれの分類の中で効果の大きいものと、そうではないものといったように、成果の確認を行って季節性のあるクリエイティブの旬を逃さないようタイムリーな最適化を行いました。このように、人的リソースをクリエイティブ戦略に集中させ、運用は SDC の自動運用に任せることで、より高い成果へと、好循環が生まれました。

クリエイティブの最適化![]()
SDC への統合前後を比較すると、統合後に会員獲得数は +57% 増加、さらに高級旅館・ホテルの予約数は +128.2%(2.3倍)増加。想定以上の成果となりました。

Smart Display Campaign (SDC) 導入前後の成果比較
今後の展望
「Google の機械学習技術を積極的に導入することで、予約獲得数を増やすためにより付加価値の高い業務に時間を割けるようになり、好循環を生み出すことが可能になりました。
クリエイティブ改善という業務は、地道にたくさんのクリエイティブを作成するなど、結構な労力が必要です。そのため、重要であるにも関わらず、後回しになりがちでした。今回、重要な業務により多くの時間を使えるようになったことで、PDCA を回す速度が早くなり、短期間でより良い結果につなげられるようになったと思います。
さらに、今後はディスプレイ広告など、広告媒体ごとの最適化だけではなく、検索連動型広告、ディスプレイ広告など複数広告媒体の成果を横断的に適正評価できれば、マーケティング投資の全体最適化が可能になると思うので、現在導入を進めている Google アトリビューションの成果に期待しています。」
株式会社Loco Partners 執行役員 プロダクト統括部長 宮下俊氏
*PDF 版の事例はこちらからダウンロードできます。
株式会社Loco Partners
http://loco-partners.com/
高級旅館・ホテルの宿泊予約サイト Relux(リラックス)を展開する旅行事業のスタートアップ
Posted by
小高 明 - シニアアカウントマネージャー
宇佐美 暁子 - ディスプレイ プロダクト スペシャリスト
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最終編集: 2019年4月19日